仕事と個人の生活の両立(充実)支援に取組んだ経緯
20年以上も前から、当社では人材の確保・定着が深刻な課題でした。塗装職人としてひととおり仕事ができるようになるには3年、高卒者が 一級技能士の受験資格を得るのに7年かかります。若年者のほとんどが技能士の資格を取得するまでの間に退職していくのが現状でした。
1998年、高齢者継続雇用制度を導入し、ベテラン職人を確保する一方で技能・経験を受け継ぐ若年従業員の定着・育成の観点から労働条件 を整備するとともに、従業員一人ひとりが持つ力を十分に発揮してもらうには、個々のニーズに沿った働き方のできる環境に配慮した両立支援が必要であると気 づきました。
その後、事務職の女性従業員の中にも本人の妊娠出産・家族の介護等で、時間的・体力的に規制されることが発生しました。当社のような小規 模の会社は事務的にも経験が豊富で、取引先の会社や担当者を理解していることがスムースに仕事が進む大きな要因となるため、個々の従業員の条件に沿った柔 軟な働き方ができるようにすることで、退職休職を防げるのであれば会社にとってもメリットが大きいのではないかと考えたのです。
しかし、制度を創っても実際に仕事を助けあうのは従業員同士となるため、育児・介護だけに特化するのでなく、様々な年齢・立場の従業員の 仕事と生活の充実を会社は支援するのだという思いから複数の制度導入に至りました。
職場の変化に結びつき、効果を上げた取組みの概要
○ 子の看護休暇(高校を卒業するまでの子1人につき年5日有休・30分単位で取得可)
○ 本人・妻の出産祝金 10万円支給
○ 保育料の3分の1を補助
○ 育児のための始業・終業の繰り上げ、繰り下げ
○ 1時間までの育児短時間勤務制度(30分単位)
○ 家族の介護サービス利用費用の3分の1を助成
○ 家族の介護のための始業・終業の繰り上げ、繰り下げ
○ 子育て中・妊婦のための休憩室整備とマッサージチェア・空気清浄機などの備品の購入
○ 事務職員11人各人1台パソコンを配置、仕事(データ)の共有化
○ 週平均労働時間を39時間に設定(H17~ 1年単位の変形労働時間制の導入により)
○ 年次有給休暇の計画的取得の奨励(年休取得計画表を各従業員に配布)
○ 年次有給休暇を1時間単位で取れることとする(各従業員のニーズを重視する)
○ 休日出勤・深夜残業等の疲労蓄積をチェックし、代休・振替休日を取得するよう指導
○ 男女従業員ともに各種研修セミナー・講演会への参加奨励
○ 男性の育児休暇取得の奨励(社内報作成)
○ 子が親の働くところを見ることのできる子ども参観日の実施
<制度の利用状況>
○ 2006年4月〜2017年4月までの実績
子供の看護のための有給休暇利用者 | 12名 |
出産祝金 10万円支給対象者(延べ人数) | 17名 |
育児休業取得者(女性 6ヶ月以上 延べ人数) | 3名 |
育児休業取得者(男性 短期 延べ人数) | 11名 |
○ 2013年度実績
1時間までの育児短時間勤務制度利用者 | 2名 |
保育所の費用の3分の1を助成(病後児保育を含む) | 7名 |
家族の介護サービス利用費用の3分の1を助成 | 1名 |
子ども手当の支給対象者員 | 9名 |
社員・協力会社への資格取得費用補助 | 46名 |
<取組みによる具体的効果>
●若年社員の確保・定着
●資格者(優秀な人材)の増加・指導者の充実
●仕事の質の向上
●表彰・マスコミ効果によるモチベーション向上
●再雇用高齢者の効用
●新卒助成現場社員の採用(2013年)
2002 年 | 2015年現在 | |
18~30代の従業員 | 6名 | 10名 |
子育て中・18歳未満の子供のいる 従業員 | 0名 | 14名 |
○ ベテラン従業員から若年従業員への自発的な技能指導の意識が発生
○ 資格者の増加 一級二級塗装技能士13名・一級建築施工管理士4名
一級土木施工管理士3名・二級建築施工管理士9名
○ 仕事の質の向上 2005年度施工優良工事表彰(島根県)受賞
島根県工事成績評価70点以上を保持
○ 年次有給休暇取得率の上昇 全体平均55.15% 男性 46.6% 女性 80.6%
○ しっかり働きしっかり休むこと、休暇を有効利用することの認識向上
○ マスコミ効果による地域での知名度向上・従業員の意識向上
※2015年現在